ETCカード、貸し借りすると「違法」って本当? “普及率95%”に潜む落とし穴、家族からでもダメなの?
ETCカードの貸し借りは家族間でも違法。大阪地裁の判決をきっかけに、知られていない規約の問題が注目されている。普及率94.7%のETCに隠された意外なリスクと、安全に使うための具体策を解説する。
家族間使用のわな
2024年5月8日、大阪地裁で「電子計算機使用詐欺罪」(刑法246条の2)に関する注目すべき判決が下された。事件の内容は、自動料金収受システム(ETC)カードを同居している弟から借りた兄が、そのカードを知人が運転する車両で使用したというものだ。この際、弟は同乗していなかった。裁判所は、兄を含む3人に対して有罪判決をいい渡した。
特に話題となったのは、ETCカードを借りた兄が暴力団関係者であった点だ。処罰の理由として、暴力団員であることが影響を与えたとされている。このことがきっかけで、警察の捜査が恣意(しい)的であるのではないかとの疑問も浮かび上がった。
しかし、今回注目すべきなのは、暴力団の関与ではなく、
「ETCカードを家族から借りて使用したことが罪に問われた」
という点だ。弁護側は、ETCカードを貸与したことがある人の割合が
「約4割」
にのぼるという調査結果を提示したが、裁判所は、この行為に対して可罰的な違法性があると結論を出した。
便利なETCカードだが、家族間であっても本人以外が利用すると罪に問われる可能性がある理由は、どこにあるのだろうか。