中部横断道「開通3年」で激変? 経済効果367億円、なぜ地域活性化? 輸出10倍増、観光客2割増!無料区間がもたらす恩恵を考える
物流改善で農産物輸出額10倍

中部横断道の全線開通により、起点である新清水JCTから南側終点の山梨県双葉JCTまでの所要時間は約2時間45分から約1時間35分へと42%短縮された。この短縮により、静岡県と山梨県間の移動はもちろん、両県から先の地域とのアクセスも大幅に向上した。
中部横断道は単なる地方間の接続路線にとどまらず、起点近郊や終点周辺には日本の主要高速道路が通っている点が特徴的だ。具体的には、
・東名高速道路
・新東名高速道路(新東名)
・中央自動車道
などが並行して走っており、これらの主要路線と併用することで、利便性が一層高まる。この特性によって、私も山梨県から静岡県へだけでなく、その先の名古屋や大阪方面への移動が圧倒的に増えた。これまでは中央道を利用して名古屋・大阪方面へ向かっていたが、中部横断道の開通により、新東名を経由するルートが開かれ、より効率的な移動が可能となった。実際、データを見ると、中部横断道全線開通前後で各地域間の流動は大きな変化を見せた。例えば、
・静岡東部~山梨県:約2.6倍
・静岡東部~長野・北陸:約2.6倍
・山梨~中京地域以西:約1.9倍
・長野・北陸~中京地域以西:約1.5倍
と、いずれも顕著な増加を記録している。また、県をまたぐ移動台数は開通前より約1.9倍に増加した。特に、山梨県峡中・峡北地域と名古屋市間の所要時間が1台あたり平均36分短縮された点も大きな成果である。
物流面でも、中部横断道の開通は大きな効果をもたらしている。山梨県や長野県は農産物の生産が盛んで、これまでは輸送中の品質維持が課題であった。しかし、静岡県の清水港へのアクセスが改善されたことにより、農産物の輸送がスムーズになり、その結果、山梨県の農産物の年間輸出額は大きく伸びた。
具体的には、2008(平成20)年には約1.9億円だった輸出額が、2023年には約19.8億円に達し、15年間で約10倍に増加した。この成長は、地元住民として非常に嬉しく、山梨県の農産物がより多くの人々に愛されるようになったことを実感している。