中部横断道「開通3年」で激変? 経済効果367億円、なぜ地域活性化? 輸出10倍増、観光客2割増!無料区間がもたらす恩恵を考える
通行止め回避で孤立防止

中部横断道の開通は地域住民の安全にも寄与している。特に、山梨県身延町と南部町では、第3次救急医療施設への救急輸送に中部横断道を利用する割合が増加し、開通後には救急輸送時間が平均13分短縮された。
また、国道52号線は歴史のある道路であり、整備が現在の基準から離れているため、大雨や連続雨量が規制基準を超えると通行止めとなる。実際、2014(平成26)年から2023年の9年間で、
・万沢地域:7回
・古屋敷地域:5回
通行止めが発生している。これらの地域が同時に通行止めとなると、約9800人が孤立する事態となる。しかし、中部横断道の開通により、国道52号線が通行止めになっても、代替路線として機能することが可能となった。全線開通後には、すでに2回、地域の孤立回避に貢献した実績がある。
さらに、広域的な視点でも中部横断道の開通は重要な影響を与えている。東京と中京圏を結ぶ走行経路は、開通前の9通りから開通後には15通りに増加した。これにより、渋滞や緊急時の選択肢が増え、より快適な走行が可能となった。
無料区間活用で国道52号線も改善

中部横断道は南側部分の全線開通により、交通量が増加傾向にある。
2023年の平日と土日の開通直前と開通後の1日あたりの平均交通量を比較すると、
・平日:開通前約5700台 → 開通後約11500台
・土日:開通前約7200台 → 開通後約15400台
と、いずれも約2倍の増加を見せている。この交通量の増加により、並行する国道52号線では約3割の交通量減少が確認された。中部横断道の山梨県富沢IC~六郷IC区間は無料区間となっており、多くのドライバーがこれを活用しており、その結果として国道52号線の交通もスムーズになり、相乗効果が生まれている。
しかし、年々交通量が増加している中部横断道において、現時点で休憩スポットは増穂PAのみという課題がある。とはいえ、無料区間内では多くのIC周辺に道の駅が設置されており、これらの道の駅が実質的なPAとして機能している。
また、全線で片側1車線通行となっており、交通インフラ整備がまだ完全ではないという現実もある。今後のさらなる整備と発展が期待される。