車検の制度「4月改正」で何が変わる!? 元ディーラーが明かす「先食い」横行の懸念! 現場は疲弊? 整備士不足の深刻度とは
2025年4月からの車検制度改正が自動車整備業界に与える影響は大きい。車検を受ける期間が倍に延長される一方で、整備士不足や業界の負担軽減には限界があり、現場では依然として過重労働の実態が続いている。この改正が本当に業界を改善するのか、実際の声を交えた考察をお届けする。
現場の「先食い」懸念と現実

今回の車検制度改正により、ユーザーと現場の両方でどのような変化が予想されるかを見ていこう。
まずユーザー側の視点から考えると、車検を受けられる期間が倍になることで、スケジュール調整がしやすくなるだろう。従来の制度では、ディーラーや民間車検工場が国の指定を受けている場合、仮車検証を発行できるため、車検満了日の45日前から車検が可能だった。新制度では、最大75日前から車検の残存期間を有効に使えるようになると予想される。
現場目線でポジティブに捉えると、これにより、従来の9月や3月の入庫集中が多少緩和されるだろう。しかし、営業マンを含めた店舗に割り当てられる
「入庫台数の目標数値」
は、制度改正によって大きく変わることはないだろう。そのため、前倒しで車検を受けた車を補填するために、4月や5月に車検が予定されている車を早期に入庫させる「先食い」が横行する可能性が高い。筆者も勤務時代には、目標達成のために来月の法定点検を前倒しにすることがあったため、車検でも同様の現象が起こるのではないかと懸念している。
また、車検を受けられる期間が延長されることで、顧客の取り合いが激しくなる可能性もある。
・車検の早期予約
・入庫特典
を充実させ、早い段階で顧客を囲い込もうとする店舗が増えるだろう。特典を受けられるユーザーには大きなメリットがある一方で、業者選びがますます難しくなるかもしれない。