中国EV「独走」の裏側! 政府補助金、地方支援…内燃車より「4割安」のコストダウン、そして行きつく過剰生産の現実

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中国のEV産業は、政府の補助金依存から脱却し、価格競争力とサプライチェーン強化で新興市場を席巻。だが、国内経済の減速や貿易摩擦、地政学リスクが成長を左右する可能性もある。

製造コスト年15%減

中国(画像:Pexels)
中国(画像:Pexels)

 では、中国のEVは政府の補助金に支えられた「張り子の虎」のようなものなのだろうか。これはそうとはいえない。先述のように中国のEVの価格は、購買補助金が引き下げられているにもかかわらず低下が続いており、その安さは政府の補助金だけでは説明できないのだ。

『ピークアウトする中国』によれば、補助金の助けによって市場が拡大することで、バッテリーや電子部品などの中間財を供給するサプライヤーが増えて分業が進み、その分業によって生産性が向上するメカニズムが働いてという。こうした

「中間財の価格低下」

が最終製品の価格の低下をもたらし、政府の支援がなくても売れるEVを生み出したと考えられる。

 中間財メーカーの成長で象徴的なのが車載バッテリーメーカーだ。もともとは日韓企業が強い分野だったが、2023年時点でCATLが世界1位、BYDが世界2位と中国メーカーが世界シェアの半分以上を占めている。この躍進の原動力には政府からの補助金もあるが、それとともにEVという最終需要が拡大したことによって中間財生産の分業が進み、それが低コストを可能にしたという面も大きい。

 BYDの財務報告書からの試算では2022年、2023年とBYDの1台あたりの製造コストは

「年平均15%程度」

のペースで低下しているといい、この価格低下がさらなる市場の拡大を生んでいるのだ。

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