中国EV「独走」の裏側! 政府補助金、地方支援…内燃車より「4割安」のコストダウン、そして行きつく過剰生産の現実

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中国のEV産業は、政府の補助金依存から脱却し、価格競争力とサプライチェーン強化で新興市場を席巻。だが、国内経済の減速や貿易摩擦、地政学リスクが成長を左右する可能性もある。

ニーオ復活とEV市場拡大

EV(画像:Pexels)
EV(画像:Pexels)

 この価格の低下をもたらした一因には、政府だけでなく地方政府の補助もある。『新中国経済大全』によれば、地方役人の成績が地域の国内総生産(GDP)の伸びで評価される中国では、地方政府には

「民間企業を支援するインセンティブ」

があるという。電気自動車メーカーのニーオ(蔚来汽車)は、2020年に経営危機に陥り破産寸前となった、このときに手を差し伸べたのは、銀行でも投資ファンドでもなく、安徽省合肥市だった。合肥市は25%の株式を取得する代わりに70億元を提供し、ニーオは本社を合肥市に移した。さらに合肥市はニーオが銀行から融資を受けやすくさせ、サプライチェーンの構築も手助けした。

 この結果、生産台数も伸び、2020年4月に30億ドル前後だったニーオの総株価評価額は8ヶ月後に約1000億ドルに急騰した。合肥市は地域を振興させるだけでなく莫大な利益も得ることになり、成功した地方政府として注目を浴びることとなった。

 また、政府の補助は購入補助金だけではなく、充電ステーションの整備やその利用料金の割引などにも及んでおり、EVを取り巻くインフラを含めて政府や地方政府が支援したことがわかる。

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