地方都市が消える? 立地適正化計画の大半が失敗、それでも「策定しないと脅かされる」現実! いまだ見えぬコンパクトシティへの道

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人口の減少と東京一極集中が予想以上のペースで進んでいる。地方は人口が減る中で戦略的に縮むことを求められるが、その道は見えてこない。

高松市のコンパクト化の壁

高松市南部の拠点と位置づけられることでん仏生山駅(画像:高田泰)
高松市南部の拠点と位置づけられることでん仏生山駅(画像:高田泰)

 人口の減少と東京一極集中が予想以上のペースで進んでいる。地方は人口が減る中で戦略的に縮むことを求められるが、その道は見えてこない。

 田園地帯の県道沿いに新しい宅地が点在する。子ども用の自転車が置かれた住宅が多く、子育て世帯が移り住んできたらしい。香川県高松市が市南部の拠点と位置づける高松琴平電気鉄道(ことでん)仏生山駅から東へ約1.5kmの高松市多肥上(たひかみ)町。高松市の立地適正化計画で居住誘導区域から外れた地域で人口が増えている。

 仏生山駅まで歩けば約20分と少し遠いが、子育て中の主婦(34歳)は「駅前に商店街や大きな病院があり、不便を感じない。それにこの辺は地価が安い」。多肥上町の公示地価は平均値で坪当たり約20万円。市中心部に近いJR栗林駅(藤塚町)周辺の半値程度だ。

 高松市はJR四国やことでんの沿線に居住誘導区域を設け、コンパクトシティを目指している。しかし、区域内の人口は2023年度で前年度比約260人の減。高松市都市計画課は

「単なる呼び掛けで居住誘導は難しい」

と頭を抱えている。

立地適正化計画の大半が失敗

居住誘導区域外で住宅建設が続く高松市多肥上町(画像:高田泰)
居住誘導区域外で住宅建設が続く高松市多肥上町(画像:高田泰)

 立地適正化計画は国土交通省が人口減少対策で地方自治体に策定を推奨している。居住誘導区域に人を集め、人口規模を上回って拡大した市街地を縮小して行政コストを削減するのが狙いだ。

 2024年7月末時点で計画を公表している自治体は全国約600。住民を中心部だけに集める手法は周辺地域の反発を招きかねないことから、多くの自治体が複数の居住誘導区域を鉄道など公共交通で結び、都市機能を維持しようとしている。しかし、計画に強制力はない。その結果、ほとんどが成果を上げていない。

 京都府舞鶴市は城下町の西舞鶴地区と軍港として発展した東舞鶴地区に居住誘導しているが、人口減少が続く。舞鶴市都市計画課は

「区画整理による空き地や空き家の活用は、移転補償費が高くて難しかった。2地区を結ぶJR舞鶴線も減便で使いづらい」

と苦しい胸の内を打ち明ける。紀伊半島や南四国では、計画未策定の小規模自治体が並ぶ地域が目立つ。四国の自治体は

「計画を策定しないと補助金が優先配分されないと脅かされるが、絵に描いた餅に効果があると思えない」

と手厳しい。

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