地方都市が消える? 立地適正化計画の大半が失敗、それでも「策定しないと脅かされる」現実! いまだ見えぬコンパクトシティへの道
人口の減少と東京一極集中が予想以上のペースで進んでいる。地方は人口が減る中で戦略的に縮むことを求められるが、その道は見えてこない。
富山や宇都宮はLRTが効果

その一方で、コンパクトシティ成功例と呼ばれる自治体がある。LRT(次世代型路面電車)を整備した富山県富山市や栃木県宇都宮市だ。富山市は街中に繰り出す高齢者が大きく増えた。宇都宮市はLRT沿線で開発ラッシュが起きている。宇都宮市の佐藤栄一市長は2月中旬の記者会見でLRT延伸などに触れ「さらに投資したい」と述べた。
LRT整備は自治体の財政負担が大きく、政令指定都市や規模の大きい中核市でないと、手を出しにくいが、公共交通が地域を再生する可能性を示したといえる。だが、国の再構築協議会がスタートした岡山、広島両県のJR芸備線をはじめ、各地で開かれている鉄道会社と自治体の協議では、そうした議論は見えてこない。
国交省は有識者会議から2022年、輸送密度(1km当たりの1日平均輸送人員)1000人未満の路線を見直し対象にすると提言されたのを受け、再構築協議会を制度化した。しかし、コンパクトシティ実現に不可欠な人口減少時代の全国鉄道ネットワーク網について方向性を示せていない。
芸備線再構築協議会では広島県が再三、回答を求めたにもかかわらず、国交省は国鉄改革の経緯やJR民営化に対する大臣指針などについて説明したにとどまる。広島県公共交通政策課は
「国の方向性は今後の議論の前提。引き続き回答を求めたい」
と話した。
人口減少に歯止めがかからない以上、地方は都市機能を維持できる公共交通網を構築し、戦略的に縮小するしかない。そのためには国が公共交通の将来ビジョンを明確に示し、自治体が一定の持ち出しを覚悟して本気でコンパクトシティ実現に踏み出す必要がありそうだ。