日本車に襲いかかる「トランプ関税」――関税回避か生産移転か? トランプ新政権が仕掛ける「製造業回帰戦略」を読み解く
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トランプ大統領が示唆する自動車関税の導入は、米製造業復活を目指す一環として重要な動きとなっている。特に、メキシコからの輸入車に最大200%の関税を課す方針が現実味を帯び、米国企業や外国製造業者に大きな影響を与える可能性が高い。貿易戦争の主戦場が軍事から経済へ移行し、関税政策が米国の経済的利益を守る手段として強化されつつある。
米国自動車関税、業界の試練

トランプ政権が発足して1か月が経過し、諸外国ではトランプ関税への懸念や混乱が広がっている。自動車に対する関税導入も現実味を帯びてきた。トランプ大統領は2月10日、半導体や鉄鋼に加え、外国製自動車に対する関税を導入する考えを示唆した。
トランプ大統領は2024年秋の選挙戦で、メキシコからの輸入車に最大200%の関税を課すと発言し、自動車メーカーに大きな衝撃を与えた。ホンダは11月、関税が恒久的なものになれば、米国内での生産を強化するか、関税対象外の国々からの対米輸出に切り替える考えを示した。その後、トランプ大統領はメキシコからの全輸入品に25%の関税を課す方針を正式に発表した。
過去にメキシコ工場で生産した車を欧州へ輸出した実績のあるマツダは2月、メキシコ以外の国へ生産拠点を変更するか、メキシコで生産した車を一度日本へ移し、日本から米国へ輸出する選択肢も検討の余地があるとした。