日本車に襲いかかる「トランプ関税」――関税回避か生産移転か? トランプ新政権が仕掛ける「製造業回帰戦略」を読み解く
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トランプ大統領が示唆する自動車関税の導入は、米製造業復活を目指す一環として重要な動きとなっている。特に、メキシコからの輸入車に最大200%の関税を課す方針が現実味を帯び、米国企業や外国製造業者に大きな影響を与える可能性が高い。貿易戦争の主戦場が軍事から経済へ移行し、関税政策が米国の経済的利益を守る手段として強化されつつある。
トランプ関税、迂回輸出も標的

筆者(和田大樹、外交・安全保障研究者)は長年、日本企業向けに地政学的観点からコンサルティング業務を行ってきたが、自動車関連部品メーカーなどからはトランプ関税への強い懸念が伝えられている。
トランプ大統領はすでに中国に対して一律10%の追加関税を課しているが、メキシコからの輸入車に最大200%の関税を課すとした背景には、メキシコで自動車生産を行う中国企業があると考えられる。
これに関連して、筆者の周辺の企業では、トランプ大統領が中国による迂回輸出にも敏感になっており、今後は中国企業が製造した製品を第3国を通じて米国に輸出するような場合も、トランプ関税の対象になるのではないかという懸念の声が上がっている。
現在、トランプ大統領がどの国にどの程度の自動車関税を検討しているのかは不明だが、メキシコに一律25%の関税を課した場合、日本の大手自動車メーカーは大きな混乱に巻き込まれるだろう。そのため、新たな自動車関税の導入は大きな脅威である。