ベビーカー「畳め」「畳むな」 不毛な公共交通論争に終止符を!「日本は遅れている」も聞き飽きた? システム改革で根本解決しかない
公共交通におけるベビーカー利用は、利用者同士のトラブルを引き起こすことが多い。2022年の調査では、6割のベビーカー利用者が「不快な思いをした」と回答し、議論が続く中、問題解決には制度改革とインフラの整備が不可欠である。
6割が不快感、公共交通の課題

公共交通におけるベビーカー利用を巡る論争は、今に始まったことではない。先日は、SNS上で「ベビーカーを畳まずにバスに乗車したところ、他の乗客から『ベビーカーを畳むことはできないのか』と注意された」という投稿が話題になった。2022年には、元バレーボール選手の大山加奈さんが双子用ベビーカーで都営バスへの乗車を拒否された件が物議を醸した。2014(平成26)年、国土交通省が「公共交通では原則としてベビーカーを折りたたまずに利用できる」と公表して以来、少しずつ利用環境は改善されている。しかし、弁護士ドットコムが2022年に行ったアンケート調査では、ベビーカーを利用する人の約6割が「不快な思いをしたことがある」と答え、「ベビーカー利用者のマナーが悪い」と感じたことがある乗客も一定数いるという結果が出ている。
この問題に対して、SNSでは
「周囲の理解を求めるべき」
「海外ではもっと寛容だ」(ネット上で「出羽守」と揶揄される論法)
という意見が見られる。しかし、これらの議論には限界がある。本質的な解決策は、社会の倫理観の変化を待つことや、海外の事例を持ち出して日本を批判することではなく、制度設計と交通インフラの改善を通じて、乗客全員が快適に利用できる仕組みを作ることにある。