「電動キックボード = 危険」って誰が言ったの? 近畿大学「自転車の比較実験」で明らかになった意外な事実! ユーザー心理と安全対策の最新研究とは

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2023年7月の公道走行解禁以来、増加する電動キックボードの事故。その原因は乗り物自体にあるのか、それとも運転者の特性にあるのか。近畿大学の実験で明らかになった、運転行動と個人特性の関係に迫る。自転車と電動キックボードの比較から浮かび上がった、意外な結果とは。

電動キックボードの安全性

電動キックボード(画像:写真AC)
電動キックボード(画像:写真AC)

「危ない」「マナーが悪い」――電動キックボードに対する批判の声をよく耳にする。

 確かに、2023年7月の道路交通法改正で公道走行が解禁されて以来、事故やトラブルの報道は増えている。しかし、本当に電動キックボードという乗り物自体が危険なのだろうか。

 この疑問に答えるため、筆者(島崎敢、心理学者。近畿大学生物理工学部人間環境デザイン工学科准教授)たちの研究チームは同じ人に電動キックボードと自転車の両方に乗ってもらい、その運転行動を詳細に分析する実験行った。興味深い結果が得られたので、速報的に紹介しよう。

速い人は常に速く、慎重な人は常に慎重

電動キックボード(画像:写真AC)
電動キックボード(画像:写真AC)

 実験では、20~24歳の学生15人を対象に、大学構内の同一コースでの電動キックボードと自転車の運転行動を比較した。

 普段通りの運転を行うように依頼し、乗車の順序は電動キックボードが先の人と自転車が先の人が約半数ずつになるようにした。その結果、最も注目すべき発見のひとつは、運転の傾向が

「乗り物の種類によらず一貫していた」

ことだ。スピードを出す人は電動キックボードでも自転車でも速く走り、慎重な人はどちらの乗り物でも慎重に運転する傾向が明らかになった。

 同様に、キープレフトを守る程度についても、乗り物の種類に関係なく個人の特性が強く反映された。

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