「ごめん、先に○○行ってるね」 消えた駅の伝言板! 昭和の恋はなぜスリリングだったのか?

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かつて駅の改札付近に存在した伝言板。携帯電話の普及とともに姿を消したこの「待ち合わせの場」は、移動する人々の絆とドラマを映し出していた。現在、デジタル化が進むなかで、失われたものとは何か、駅の伝言板が描いた恋愛の風景とその変化を探る。

即時通信がもたらす恋愛の変化

伝言板(画像:写真AC)
伝言板(画像:写真AC)

 伝言板が消えたことで、恋愛は変わったのか。結論をいえば、変わった部分もあれば、変わらない部分もある。

 大きく変化したのは、連絡手段のスピードと正確性だ。LINEやメッセンジャーアプリを使えば、一瞬で意志を伝えられる。もはや相手が来るかどうかわからずに待ち続ける必要はない。待ち合わせの不安がなくなった分、恋愛の緊張感も薄れたといえるかもしれない。

 一方で、恋愛におけるすれ違いは今も変わらない。

「既読スルー」
「返信の遅れ」

は、伝言板時代の「書いたのに読まれなかった」という問題と本質的に同じだ。むしろ、リアルタイムで連絡が取れるからこそ、無視されたときのダメージは大きくなった。

 さらに、伝言板には「偶然の出会い」が生まれる要素もあった。誰かが書いたメッセージを別の誰かが偶然目にし、思いがけない展開が生まれることもあった。しかし、個別化された現代の通信手段では、そうした偶然性はほぼ排除されている。

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