空港のグランドスタッフはなぜ低賃金? 重労働でも「年収250万~300万」という現実! CAとの待遇格差が日本観光業に及ぼす深刻な影響とは
待遇の比較

グランドスタッフとキャビンアテンダントは、航空会社にとって飛行機を安全に飛ばし、満足できるサービスを提供するために欠かせない職員だ。また、両者とも長時間の立ち仕事や客からのクレーム対応、フライトスケジュールや空港の時間に応じた深夜早朝労働といった過酷な環境に立たされているという点でも共通している。
しかし、グランドスタッフとキャビンアテンダントの間には収入や手当、労働環境に大きな格差がある。一般的にグランドスタッフはキャビンアテンダントよりも劣悪な環境にあり、収入も低いことが多い。国土交通省が2024年4月3日に発表した「空港業務における現状と取組状況」によると、2024年のグランドハンドリングスタッフの平均給与は約434万円だが、これは全年代およびすべての雇用形態を含む平均であり、実際には平均年収が
「250万円から300万円程度」
であることも少なくない。また、シフト制によって早朝や深夜勤務があるものの、非正規職を中心に手当や賞与が支給されないケースも多い。
一方、キャビンアテンダントの平均年収は約584万円で、グランドスタッフより100万円以上高い。さらに、
・フライト手当
・宿泊手当
も支給され、額面以上の収入を得ることもある。この待遇の違いには、雇用形態の違いが関係している。グランドスタッフは航空会社や空港会社に直接雇用されているわけではなく、派遣社員などの
「非正規雇用」
が多いため、賞与や手当が支給されないこともよくある。非正規雇用が多いため、労働組合を通じて待遇改善を訴えるのが難しく、現状を受け入れざるを得ないことが多い。
一方、キャビンアテンダントは正社員として雇用されることが多く、労働組合を通じて会社側に労働環境の改善を訴えることがしやすい。また、国際線では長時間労働や時差による疲労が溜まりやすいが、乗務時間は法律で規制されており、過労防止の仕組みも整っている。この労働組合についての話は後ほど詳しく解説する。