免許返納できない地方高齢者の苦悩!「運転は怖い」でも車なしでは生活不可能、世間は「早く返納しろ」の声ばかり
日本の高齢化社会において、免許返納は「個人の判断」にとどまらず、社会全体の課題として考えるべき時期に差し掛かっている。2025年には75歳以上が2179万人に達する中、地方の高齢者は車に依存した生活から脱却できない現実がある。安全な移動手段を確保するためには、「免許返納後の生活支援」が不可欠だ。
地方の「車社会」が生む高齢者の困窮

都市圏では公共交通が発達しており、免許を返納してもバスや鉄道を利用すれば大きな不便を感じることは少ない。しかし、五大都市圏の中心部を除くと、日本のほとんどの地域は依然として「車社会」が支配的だ。例えば、スーパーや病院が町の中心に集中している場合が多く、自宅から徒歩圏内に商業施設がないことも珍しくない。
農林水産政策研究所の推計によれば、買い物に困難を抱える高齢者は全国で904万人、うち75歳以上の高齢者は566万人に上る。免許を返納すれば、
「食料品すら買えない」
という事態に直面する高齢者が多いという現実がある。特に青森県や秋田県では、75歳以上の約3割が「買い物難民」となっており、この割合は全国でも最も深刻だ。
また、地方ではバスやタクシーの運行本数が限られている。自治体や民間企業が提供する「デマンド交通(予約制乗合タクシー)」も導入されているが、運行地域や時間帯に制約があり、自由な移動が難しい状況が続いている。さらに、タクシー料金も高齢者にとっては大きな経済的負担となる。