免許返納できない地方高齢者の苦悩!「運転は怖い」でも車なしでは生活不可能、世間は「早く返納しろ」の声ばかり
日本の高齢化社会において、免許返納は「個人の判断」にとどまらず、社会全体の課題として考えるべき時期に差し掛かっている。2025年には75歳以上が2179万人に達する中、地方の高齢者は車に依存した生活から脱却できない現実がある。安全な移動手段を確保するためには、「免許返納後の生活支援」が不可欠だ。
高齢ドライバーのジレンマ

「運転するのはもう怖い。しかし、車がなければ生活が成り立たない」
この言葉は、多くの高齢ドライバーが抱えるジレンマを反映している。日本の地方部に住む高齢者にとって、自家用車は単なる移動手段以上の存在だ。買い物や病院の通院、友人との交流など、日常生活のあらゆる場面で車が必要とされる地域が多数を占めている。
それにもかかわらず、社会の風潮は高齢ドライバーに対してますます厳しくなっている。高齢者による交通事故が報じられるたびに、「免許の返納を促進すべきだ」という声が強まる。警察庁の統計を見ると、1998年には2596件だった自主返納件数が、2019年には60万件を超えた。しかし、2023年にはその数は約38万件に減少しており、この動きの鈍化は、高齢者自身が
「免許を返納したい」
「生活の維持に必要な手段として車を使い続けたい」
という現実に直面していることを示している。
クロス・マーケティング(東京都新宿区)は、2025年1月に全国18~79歳の男女3,000人を対象に「仕事・人生設計に関する実態・意識調査」を実施した。この調査結果によると、高齢者ドライバー(65歳以上)に対して免許返納の適切な年齢について尋ねたところ、「79歳までに返納した方がよい」と考える人は
「58%」
に達した。一方、実年齢が70代の人々の中ではその割合が41%と最も低く、この年代において免許返納に対する賛同が最も少ないことが分かった。実年齢が低くなるほど、免許返納を早めに行うべきだという意識が高まる傾向が見られ、こうした傾向が顕著に現れた。