免許返納できない地方高齢者の苦悩!「運転は怖い」でも車なしでは生活不可能、世間は「早く返納しろ」の声ばかり

キーワード :
,
日本の高齢化社会において、免許返納は「個人の判断」にとどまらず、社会全体の課題として考えるべき時期に差し掛かっている。2025年には75歳以上が2179万人に達する中、地方の高齢者は車に依存した生活から脱却できない現実がある。安全な移動手段を確保するためには、「免許返納後の生活支援」が不可欠だ。

運転中止が引き起こす介護リスク

地方のイメージ(画像:写真AC)
地方のイメージ(画像:写真AC)

 高齢ドライバーによる交通事故は深刻な社会問題である。認知機能の低下が事故の原因となることもあり、高齢ドライバーの運転リスクは無視できない。

 しかし、「免許を返納すれば安全になる」という考えは誤りである。免許返納後に生活が困難となり、外出機会が減少することで、逆に認知症のリスクが高まる可能性が指摘されている。筑波大学の研究チームは、車の運転をやめて自由な移動手段を失った高齢者は、運転を続けた高齢者よりも要介護状態になるリスクが2倍高いという結果を発表している(2019年)。

 この研究では、2006(平成18)年から2007年にかけて車を運転していた65歳以上の高齢者2844人を対象に、2010年時点で運転を続けているかどうかを確認した。その結果、「運転を続けた高齢者2704人」と「運転をやめた高齢者140人」を比較したところ、運転をやめた高齢者は運転を続けていた高齢者よりも、要介護状態になるリスクが2.04倍高かったことがわかった。また、

「免許返納 = 公共交通の利用」

という前提が成り立たない地域も多い。地方では、「バスは1日3本」「タクシーの初乗りが700円以上」といったケースもあり、公共交通は高齢者にとって十分な移動手段とはいえない場合が多い。利用者が少ない地域では、運行コストを補填するために初乗り料金が高く設定されていることが多く、公共交通の選択肢は限られている。

 このため、免許を返納した高齢者は徒歩での移動を強いられ、その結果、転倒や骨折などの健康リスクを抱えることが懸念されている。

全てのコメントを見る