伊豆箱根鉄道で起きた「ねじれ問題」 同一鉄道会社・異なる路線で浮き彫りになるクレカ・ICカード利用の「境目問題」とは?
観光客だけでなく沿線住民に向けたタッチ決済の導入が進み、地域ごとの利用者ニーズに応じた対応が求められている。伊豆箱根鉄道では、三井住友カードの主導で駿豆線全駅でクレジットカードのタッチ決済が導入され、交通系ICカードとの「ねじれ現象」が報じられている。これは、利用者層に応じた柔軟なキャッシュレス決済戦略が求められる時代の到来を示唆している。
観光路線としての駿豆線

この問題は、
「交通系ICカードのエリアまたぎ問題」
ともいえる。1枚のカードで複数エリアの境目を越え、シームレスに改札を通過できない点が今でも課題だ。伊豆箱根鉄道駿豆線の乗換駅である三島駅は、JR東海エリアに位置する。このため、駿豆線で交通系ICカードを利用しても、東京方面から来る場合は三島駅で一度精算する必要がある。結果として、交通系ICカードの導入が意味を持ちづらい環境となっている。
一方で、この状況は
「路線ごとの立地や環境に応じた柔軟な対応」
と捉えることもできるのではないだろうか。駿豆線は沿線住民にとって重要な交通手段であり、観光客も多く利用する路線だ。特にインバウンドにとっては、普段使用するクレジットカードがそのまま活用できる点が大きな利点となる。
さらに、駿豆線沿線には韮山反射炉などの世界遺産もあるため、「観光路線」としての性格が強い。インバウンドを意識した場合、タッチ決済が交通系ICカードよりも導入優先度が高まるのも自然な流れだろう。