伊豆箱根鉄道で起きた「ねじれ問題」 同一鉄道会社・異なる路線で浮き彫りになるクレカ・ICカード利用の「境目問題」とは?
観光客だけでなく沿線住民に向けたタッチ決済の導入が進み、地域ごとの利用者ニーズに応じた対応が求められている。伊豆箱根鉄道では、三井住友カードの主導で駿豆線全駅でクレジットカードのタッチ決済が導入され、交通系ICカードとの「ねじれ現象」が報じられている。これは、利用者層に応じた柔軟なキャッシュレス決済戦略が求められる時代の到来を示唆している。
タッチ決済の普及

2024年、キャッシュレス決済分野では「タッチ決済」が注目された。
タッチ決済は、非接触で支払いが完了する決済方法を指す。特定の端末やカードを支払い端末にかざすだけで認証され、迅速かつ簡単に決済が行える点が特徴だ。主にクレジットカード、電子マネー、交通系ICカードなどが対応しており、端末との近接で認証されるため、安全性も高まっている。
タッチ決済への注目は、交通系ICカードのシェアの一部をクレジットカードが奪った形だ。同じ鉄道事業者が交通系ICカード対応路線とタッチ決済対応路線の両方を抱えるケースもあるが、完全にどちらにも対応しているわけではなく、どちらか一方にのみ対応している状況も見られる。
本稿で取り上げる、西武鉄道の子会社・伊豆箱根鉄道(静岡県三島市)もそのひとつで、
「JRグループの境目」
に駅を持つため、影響を直接受けている。