伊豆箱根鉄道で起きた「ねじれ問題」 同一鉄道会社・異なる路線で浮き彫りになるクレカ・ICカード利用の「境目問題」とは?

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観光客だけでなく沿線住民に向けたタッチ決済の導入が進み、地域ごとの利用者ニーズに応じた対応が求められている。伊豆箱根鉄道では、三井住友カードの主導で駿豆線全駅でクレジットカードのタッチ決済が導入され、交通系ICカードとの「ねじれ現象」が報じられている。これは、利用者層に応じた柔軟なキャッシュレス決済戦略が求められる時代の到来を示唆している。

大雄山線・駿豆線に発生した「ねじれ」

駿豆線ではタッチ決済を導入(画像:JCB)
駿豆線ではタッチ決済を導入(画像:JCB)

 伊豆箱根鉄道駿豆線全駅でクレジットカードのタッチ決済乗車が導入されたのは、2024年12月18日である。対応するカードは

・Visa
・JCB、
・American Express
・Diners Club
・Discover
・銀聯

で、システムの提供は三井住友カードが担っている。全国各地で導入されるタッチ決済乗車の多くが三井住友カードの主導によるものであり、

「案の定」

といっても過言ではないだろう。2024年は三井住友カードが仕掛けた計画が次々と実を結んだ年といえる。

 伊豆箱根鉄道もその流れに乗った交通事業者であり、タッチ決済乗車が導入されたのは駿豆線のみだ。大雄山線ではタッチ決済乗車は利用できず、交通系ICカードでの乗車が可能である。駿豆線は交通系ICカードにも対応していない。この「ねじれ現象」について、毎日新聞が報道している。

「伊豆箱根鉄道駿豆線(三島―修善寺)は18日から全線でクレジットカードやデビットカードのタッチ決済で乗車できるようになった。ただし、交通系ICカードは使えないままだ。同じ伊豆箱根鉄道でも大雄山線(小田原―大雄山)は交通系カードが利用できてクレジットカードは利用できない。正反対の状況が生まれた背景には、JR東日本とJR東海をまたぐと交通系カードが使えないという事情があったという」(2024年12月18日『同じ伊豆箱根鉄道なのに ICカードとタッチ決済の可否、線で正反対に』)。

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