船員が足りない! 50歳以上が半数「内航海運」本当に大丈夫か? 働き方改革待ったなし、海上労働環境を変えられるか

キーワード :
,
船員不足と過酷な労働環境が深刻化する中、海運業界は国際的な規制や革新的な取り組みによって労働環境改善に挑戦している。特に、船内の居住区や健康管理の向上が進み、船員の確保に向けた新たな方策が求められている。デジタル化や働き方改革が未来の海運業界を支えるカギとなる。

船級の取組

船上で働く乗組員(画像:Furuno Norge)
船上で働く乗組員(画像:Furuno Norge)

 日本海事協会は、持続可能な社会の実現に向けて企業の革新的な取り組みをサポートしている。特に「Innovation Endorsement(IE)」は、「デジタル」「環境」「安全」「労働」の分野を対象としており、労働環境に配慮した設備を備えた船舶には船級符号「ELW(Excellent Living and Working Environment)」が付与される。

 ELWは、船員の労働環境に関する設備やそれに関連する書類、手順書を検査する。具体的な設備要件としては以下が挙げられる。

・船員が私的にインターネットを利用できること、食堂、休憩室、居室などに無線LANを設置すること
・船員ごとに温度調整可能な空調
・ジェンダー平等に配慮した居住衛生設備
・生鮮食品の鮮度保持
・熱中症対策として甲板上にミスト発生装置を設置すること

 さらに、船内の騒音や振動を抑える設計が施されていることを示す船級符号も提供している。船内の生活音や作業音を最小限に抑えることで、船員のストレス軽減や健康維持に貢献している。

 また、船員の労働環境と機関室の安全性への取り組みを評価するために、居住区域の騒音・振動や機関室に設置される機器の振動についての評価基準を整備し、2011(平成23)年には「騒音・振動ガイドライン」を発行した。

全てのコメントを見る