船員が足りない! 50歳以上が半数「内航海運」本当に大丈夫か? 働き方改革待ったなし、海上労働環境を変えられるか
船員不足と過酷な労働環境が深刻化する中、海運業界は国際的な規制や革新的な取り組みによって労働環境改善に挑戦している。特に、船内の居住区や健康管理の向上が進み、船員の確保に向けた新たな方策が求められている。デジタル化や働き方改革が未来の海運業界を支えるカギとなる。
国際規則の取組

海上労働条約(Maritime Labour Convention:MLC2006)は、船員の労働条件や生活環境を定めた国際的な規約で、2006年に採択された。これは、海上で働く船員の権利を保障する「船員の権利章典」とも呼ばれ、500GT以上の商船に従事する船員に適用される。
この条約では、船員が船上で適切な労働条件や生活環境を享受する権利を有し、健康保護、医療、福祉措置、その他の社会的保護を受けることが明文化されている。条約の内容は主に以下の五つのテーマに分かれている。
●船員の最低条件
船員として働くための最低年齢、健康状態、必要な訓練や資格など、船員が職務を遂行するための基本的な条件が定められている。
●雇用条件
雇用契約における条件、適切な賃金、労働時間や休憩時間の規定が求められる。
●居住区内の施設や食事
良好な生活環境の提供、レクリエーション施設、質の高い食事や飲料水の提供が義務付けられている。
●健康保護、医療、福祉、社会保障
健康状態に問題があれば迅速に処置を行い、労働衛生環境を守ることが求められる。
●コンプライアンスと実施
船員と船主は法の前で平等であり、平等な法的保護を受ける権利を有する。
また、2012(平成24)年には、船内の騒音が船員の健康に与える影響や、操船時の指示伝達の障害による安全性への影響を最小限にするために、「船内騒音コード」が採択された。