船員が足りない! 50歳以上が半数「内航海運」本当に大丈夫か? 働き方改革待ったなし、海上労働環境を変えられるか
船員不足と過酷な労働環境が深刻化する中、海運業界は国際的な規制や革新的な取り組みによって労働環境改善に挑戦している。特に、船内の居住区や健康管理の向上が進み、船員の確保に向けた新たな方策が求められている。デジタル化や働き方改革が未来の海運業界を支えるカギとなる。
船員法の改正

2023年に船員法が改正され、船員の健康管理や労働時間に関する規定が変更された。
船員の疾病の約半数が生活習慣病であり、船員による死亡者の約9割が生活習慣病に関連する疾患が原因となっている。このため、作業医の設置、過重労働対策、メンタルヘルス対策などが新たに規定された。
また、船内では就業時間と休憩時間が曖昧になりやすいため、労働時間を1日8時間、1週間40時間とし、船舶所有者がその管理・把握を行うことが求められるようになった。
船主や運航会社は、船員の確保に向けてさまざまな施策を実施している。商船三井では、船員の意見を反映させたウェルビーイングを実現する居住区コンセプトを発表し、実現に向けて取り組んでいる。
また、船上の「サードプレイス(仕事の合間にリラックスしたり、仲間と交流したりする場所)」として「IKOI」というスペースを居住区に設け、職員や部員を問わず誰でも利用できる癒しの空間を提供している。
「IKOI」は開放感を大切にし、多くの採光や照明が考慮されたデザインになっている。さらに、国内の内装施工でトップシェアを誇る長崎船舶装備は、新たな居住区コンセプトを提案するモデルルームを作成しており、船主だけでなく施工会社からも新しい居住区環境への取り組みが進められている。