浸水隠ぺいだけじゃない? JR九州「クイーンビートル」再開断念の裏側とは? 30年の航路を支えた苦闘を振り返る
JR九州は、博多~釜山航路の高速船「クイーンビートル」の浸水隠蔽問題を受け、運航再開を断念し、航路から撤退を決定した。これにより、30年以上続いたこの航路は幕を閉じることとなる。
釜山航路の挑戦と転機
期待に反して、安定した乗客の確保はできず、航路の維持は非常に困難だった。
前述のように、九州各地と韓国を結ぶ航路は、数年で次々に休止に追い込まれた。JR九州の福岡~釜山間の航路も、1便あたりの乗客が60人に満たないことが多く、皮肉にもこの時期の経営を支えていたのは、
「福岡~ハウステンボス間の国内航路」
だった。しかし、この国内航路も鉄道運賃の倍近い料金設定が影響し、収益は目標に届かなかった。
それでも、JR九州は思い切った戦略を打ち出す。収益が少ない国内航路を切り捨て、苦戦していた福岡~釜山航路に経営資源を集中する決断を下した。『西日本新聞』2015年6月22日付のインタビューで、当時の担当者たちは、この決断の背景に
「釜山航路には必ず伸びしろがある」
という強い確信があったことを明かしている。
この決断は正解だった。その後も苦戦は続いたが、2002(平成14)年の日韓ワールドカップを契機に乗客数が急増。こうして、福岡~釜山航路は新時代の日韓関係を象徴する存在に成長していった。