久留里線の利用者が激減した3つの理由! 輸送密度“9割減”も、地元からは「廃止阻止」の声 廃止問題に対する議論は十分だったのか

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JR東日本が久留里線の廃止を決定。1987年の823人から2023年には64人に減少した利用者数は、地域人口減少やモータリゼーションの影響が大きい。代替手段として提案されるバス転換には、乗務員不足や地元自治体の支援が必要なため、課題も多い。地域活性化を目指した観光資源活用も含め、今後の対応策が注目される。

高速バス代替困難、課題は速達性」

亀山・藤林大橋バス停で高速バス「カピーナ号」千葉行きに乗り込む乗客たち。2024年12月1日撮影(画像:大塚良治)
亀山・藤林大橋バス停で高速バス「カピーナ号」千葉行きに乗り込む乗客たち。2024年12月1日撮影(画像:大塚良治)

 JR発足直後の1987年4月号の『交通公社の時刻表』を見ると、久留里~上総亀山間では上下線合わせて28本の列車が運行されていたが、現時点では17本に減少している。輸送密度が9割減少した一方で、列車本数の減少率は「4割」にとどまっており、

「JRの努力」

もうかがえる。2023年3月8日、JR東日本千葉支社は君津市および千葉県に対して、久留里~上総亀山間の地域交通体系を協議するための「JR久留里線(久留里・上総亀山間)沿線地域交通検討会議」の設置を申し入れた。

 これを受けて、千葉県が事務局となり、同年5月11日に第1回会議が開催され、その後5回の審議を経て、2024年10月28日に「JR久留里線(久留里・上総亀山間)沿線地域交通検討会議検討結果報告書~沿線地域の利便性の高い公共交通への提言~」が公表された。報告書では、

「上総地区では、『平日最大15人程度、休日最大20数人程度のまとまった移動需要と、それ以外の散発的な移動需要』があり、当該地区で提供されている交通サービス(鉄道・高速バス・デマンド交通など)は、これらの移動需要に適していないことがわかった。当該地区での移動需要を考慮すると、自動車中心の交通体系への移行により、より利便性の高い地域公共交通が実現すると考えられる」

との議論結果を記した。君津市企画調整課も

「久留里線と並行する高速バスへの代替は難しいと考えている。ドアが先頭に1か所しかなく乗降に時間がかかるのと、高速バスの特性である速達性が失われる懸念もある」

と説明する。

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