「役所仕事の大失敗や」 神戸・新長田“震災復興”30年の終焉に、誰も喜ばないワケ! 再開発が抱える深刻問題とは
1995年の阪神・淡路大震災で最も大きな被害を受けた神戸市長田区の新長田地区では、復興の再開発事業が完了した。しかし、規模に見合わない開発があちこちに重い負担を残している。
市役所の暴走が招いた失態

今では典型的な
「再開発の失敗事例」
に挙げられているが、実態はどうだったのだろう。市は完了のめどが立ちつつあった2020年度、有識者会議を設置して事業を検証した。報告書には大急ぎで進めた復興事業のさまざまな問題点が浮かび上がる。
・事業が長期にわたったこともあり、市の金利負担が大きくなったうえ、地価下落の影響を受けた
・再開発ビルの設計中や整備中に転出が相次ぎ、空き区画の増加につながった
・商業施設を地下から地上2階までの3層構造にしたことで規模が過大になり、歩行者の動線が分散した
・共用区画を多くとった施設構造が管理費の増大を招き、転出のきっかけになった
-などだ。
新長田駅周辺は1965(昭和40)年の市総合基本計画で市西部の副都心と位置づけられたが、商店街や住宅、工場が密集した古い下町のままで、機能を発揮できる状態でなかった。市は復興を機に一気に副都心化を図ろうとして、地権者と十分な意思疎通のないまま、見切り発車で事業を進めた。
古い下町の商店街は都心部並みの豪華な施設に変わったが、多くの店主が心ならずも商店街を去った。残った店主も高い管理費に苦しみながら、商売を続けている。本当にこれが復興といえるのだろうか。大正筋商店街の店主の妻は
「身の丈に合った計画にすべきやった。高い管理費を支払って商売する価値はない」
と不満をぶつける。別の店主は
「市は『任せとけ』の一点張りで十分な話し合いがなかった。役所仕事の大失敗や」
と語気を強めた。