北陸新幹線「小浜・京都ルート」 京都府市は事実上反対か? 自民国会議員も懸念、市長「地下水 = 京都文化を支えてきた」の指摘も
北陸新幹線の大阪延伸に関する与党の整備委員会が国会内で開かれ、松井孝治京都市長と西脇隆俊京都府知事が「小浜・京都ルート」に対する懸念を表明した。これについては、事実上の反対意見だと受け止める声も上がっている。
地下水への影響などに懸念を表明

北陸新幹線大阪延伸で与党整備委員会が国会内で開かれ、松井孝治京都市長、西脇隆俊京都府知事が「小浜・京都ルート」への懸念を伝えた。
「事実上の反対」
と受け止める声もある。
「京都の地下水は酒造りだけでなく、京料理や染色に欠かせない。(小浜・京都ルートは)生活や産業、文化を支えてきた水に対する懸念が残る」。
与党整備委員会のヒアリング終了後、報道陣に囲まれた松井市長は地元の不安を伝えたことを明らかにした。松井市長と並んで報道陣に対応した西脇知事は
「(整備には)府民の理解と納得、関係市町の協力が不可欠。施工上の課題に慎重な調査と地元への説明が必要なことを申し上げた」
と述べ、懸念解消に努めるよう求めたことを説明した。
この日の与党整備委員会は、国土交通省と鉄道建設・運輸施設整備支援機構が示した京都市内の駅設置候補3案など詳細ルートについて、松井市長と西脇知事、吉村洋文大阪府知事から意見を聞くのが目的。既に福井県の杉本達治知事、JR西日本の長谷川一明社長から意見聴取を済ませている。
しかし、松井市長、西脇知事は詳細ルートについて明確な回答をしなかった。地下水への影響などに対し、現時点で十分な判断材料がないと考えていることが背景にあるようだ。さらに、松井市長は市財政の厳しさを示しながら、詳細ルートの決定について
「慎重に慎重を重ねて精査してほしい」
と訴えた。
吉村知事は大阪への早期延伸が第一としながらも、2016年に試算された事業費2.1兆円が最大5兆円以上に増える新たな試算が示されながら、開通効果を金額に換算する便益が公表されていない点を取り上げ、
「費用対効果を示すべき」
などと主張した。