「夜行列車」本格復活のカギは上下分離と航路抑制? 中小企業参入を促す公的支援が交通政策を革新する!【連載】夜行列車現実論(4)
新型コロナの影響で売上が減少したビジネスホテル業界。インフレと人手不足も追い打ちをかける中、夜行列車の復活が注目を集めている。欧州の事例を参考に、鉄道と航空の協力や民間事業者の参入が進む中、日本でもクロスセクターベネフィットの視点で公共交通活性化が期待される。
夜行列車復活の政策支援

欧州では、夜行列車の復活が加速している――。
鉄道は低エネルギーで環境負荷が少なく、他の交通手段に比べて優れた選択肢とされている。格安航空会社との競争が激化するなか、欧州各国の政府は二酸化炭素排出削減を重要課題として捉え、夜行列車の復活を政策的に支援している。
例えば、フランス政府は夜行列車への投資を将来の成長戦略と位置づけ、短距離航空路線を禁止する法律を施行した。2023年5月23日からは、鉄道で2時間30分以内で移動可能な国内線を廃止することが決まり、パリのオルリー空港発着の
・ナント
・ボルドー
・リヨン
行きの3路線が対象となった(国際線が発着するシャルル・ド・ゴール空港の国内線は対象外となっている)。
この政策にともない、エールフランスやオランダのKLMは鉄道とのコードシェア(共同運行)を開始。KLMは500km以下の路線について鉄道会社との連携を強化しており、500kmは東京から岡山までの距離に相当し、新幹線で約3時間半の移動距離にあたる。
このような政策的支援は、夜行列車の再生にとって不可欠な要素となっており、今後の鉄道交通のあり方に大きな影響を与えることが予想される。