大音量でうるさい「選挙カー」、実はレンタルだった! 知られざる業界ネタに深く切り込む
知られざる街宣車のルール

2022年3月20日に投開票された埼玉県戸田市の市長選は、現職の菅原文仁候補が再選を果たした。当初、戸田市長選は、菅原候補だけが立候補し、無投票当選が濃厚とされていた。しかし、スーパークレイジー君(本名:西本誠)候補が立候補。これによって、選挙戦が展開されることになった。
直前まで出馬を迷ったというスーパークレイジー君候補は、2022年の都知事選にも出馬した経験がある。都知事選では白い特攻服を見にまとって高級外車で街頭演説をしたこともあり、注目を浴びた。今回、トレードマークでもあった白い特攻服を封印。きちんとしたスーツで街頭に立ち、一般的なバンタイプの選挙カーとママチャリで市内各所を回った。
用意されたバンタイプの選挙カーには、一見すると“痛車”のような外見だが、これはシールを車体に貼っただけの簡素な装飾にすぎない。ド派手な選挙カーを使っていた、これまでの選挙スタイルと比べると、今回の選挙カーは明らかに地味だった。
選挙戦で有力な宣伝・広報ツールとなる選挙カーは、基本的に政党の本部・支部などが所有している。一般的には選挙のときにしか目にしないので選挙カーと通称されるが、選挙以外の街頭演説時にも使用される。
そのため、一般的に選挙カーと呼ばれるが、
「街頭演説車(街宣車)」
と呼ばれることも少なくない。使用頻度は決して高くないので、街宣車の稼働効率は悪い。政党のような団体で使用するなら出動する出番もそれなりにあるが、それでも毎日使うものではない。
こうした事情から、個人の政治家が所有することは少なく、選挙時はレンタルで済ませることが一般的だ。
政党に属さない政治家たちは、街頭演説車をどのように手配しているのか?
実は専門のレンタカー会社があり、政党に属さずに出馬する候補者などは、業界関係者のツテを使って、レンタカー会社から調達していた。
これら専門のレンタル業者が大手をしのいで活躍できた背景には、独特のおきてとも言うべき街宣車のルールがあったからだ。