大音量でうるさい「選挙カー」、実はレンタルだった! 知られざる業界ネタに深く切り込む
街頭演説車を使わない候補者も登場

街宣車のレンタルは多くの業者が参入するようになった。モノ(ハード)を手配することは容易になったが、細かいノウハウ(ソフト)部分では経験が物を言う。そのために昔から専門でやってきた業者が、選挙時には重宝される。街宣車の使い方ひとつ取っても、実に奥が深いのだ。
とはいえ、時代とともに選挙のやり方は変わっているのも事実だ。昨今、コロナ禍により多くの聴衆を集める街頭演説会は難しくなった。前述したガラス張りの街頭演説車が人気なのは、そうした非接触でも多くの有権者の目に触れられるようにできるといった要因がある。
また、選挙におけるネット解禁から時間がたち、街頭演説がネットでリアルタイム視聴できる環境も整った。そのため、日没後の街頭演説車は照明が完備されているものが好まれるようになり、街頭演説車には“映え”を意識するような設備が充実している。
その一方、街頭演説車を使わない候補者も出てきている。東京都の伊藤ゆう都議会議員は、選挙カーを使わない超党派の議員・立候補予定者の団体「NO!選挙カー推進ネットワーク」を立ち上げた。
選挙カーを使わない選挙活動は、今のところ政治関係者に広まっているとは言い難い。なぜなら、先述したように候補者に課せられた最大の使命は、なによりも当選することだからだ。選挙資金をケチって落選したら、元も子もない。くわえて、街頭演説車の費用は公費負担されることも大きい。
伊藤都議は、そうした公費負担されていることや
・省エネ
・環境面
・騒音
の観点からも選挙カーを使わない選挙を推進している。
東京都は網の目のように鉄道が走り、選挙区も決して広くはない。だから、こうした取り組みを推奨できるとも言える。選挙区の広い地方で、選挙カーを使わない選挙活動は現時点では非現実的なのだろう。
今夏は参議院議員選挙が予定されている。各地で熱い戦いが繰り広げられることになるだろう。そのとき、街頭演説車にも注目してほしい。