大音量でうるさい「選挙カー」、実はレンタルだった! 知られざる業界ネタに深く切り込む
一部が公費で負担される街宣車
実は立候補者が選挙時に使用する街頭演説車の経費は公費で一部が負担される。そのため、候補者は街宣車をこぞって使用する。
専門業者の独壇場だった数年前まで、街宣車のレンタル料は不透明な部分が多かった。現在、ネット検索すれば料金を明示している事業者は少なくない。数だけで見れば、街宣車を貸し出すレンタカー会社は増えている。
しかし、街宣車は単に自動車を調達すれば済む問題ではない。
・看板
・車体装飾
・音響機材
などもセットで扱われる。
そのため、これらの加工費・材料費などが上乗せられる。この部分は現在に至っても不透明で、しかも先述したように選挙に精通していなければ思わぬところでチョンボをしてしまうことも珍しくない。これらが重なって、落選。落選だけならまだしも、公職選挙法違反となったらシャレにならない。
国政選挙・地方選挙といった選挙の規模でも、使用する街宣車の種類は異なる。政党に所属しない候補者は、一般的に活動資金が少ない。そのため、安価で小さな選挙カーを使う傾向が強い。有権者が少なかったり、選挙区が小さかったりする選挙では多くの候補者がミニバンタイプのような小さな街宣車を使用するケースが目立つ。できるだけ、有権者との距離を縮めることで票を取り込むという意図がそこにはある。
時代とともに、選挙で使われる街宣車も様変わりし、最近は車体がガラス張りになって車内が見えるタイプの人気が高いようだ。
一方、国政政党の多くは自前の街宣車を所有している。所有している台数は政党の規模によって異なるが、自民党は“あさかぜ号”という選挙カーを複数台所有している。
国政選挙の際にはフル稼働する。あさかぜ号は、前後に4台のスピーカーがとりつけられ、照明も完備。車上には6人前後が登壇できる。
あさかぜ号は関係者のみ乗ることが許されているが、ニコニコ超会議で展示されたことがあった。その際、自民党は車上でマイクを握って演説を体験してもらうという来場者サービスを実施。かなり好評を博している。あさかぜ号は、ハシゴを使って車上へと登る。人通りの多い駅前で街頭演説する際には遠くからでも登壇者が見えるので必須の街宣車と言える。
しかし、先日に死去した石原慎太郎元都知事は晩年に足を悪くし、街宣車の上に登ることが身体的に不可能だった。そのため、石原氏を応援演説などで呼ぶ場合はウイング車と呼ばれる、横開きの街宣車を手配する必要があった。こうした配慮も、選挙を経験していくうちに身につけるスキルとされる。