青春18きっぷ“改悪”で失われる「豊かな旅」 ネットで不満大噴出、大幅ルール改変の裏にあるJRの狙いとは

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「青春18きっぷ」の利用条件が「連続使用」「1枚1人限定」に変わり、自由度が大幅に制限された。転売対策としての変更だが、正当な利用者にも不便を強いる形になっていて、学生や中高年層からの反発が高まっている。このままでは鉄道利用促進の妨げになる恐れもあり、SNSでは「改悪だ」という批判や署名活動も始まり、見直しを求める声が広がっている。

果たされないJRの説明責任

旅情のイメージ(画像:写真AC)
旅情のイメージ(画像:写真AC)

 ふたつ目の問題点は、既存のユーザーのニーズを反映した変更になっていないことである。上記の通り、三セク化への未対応など、いまだ実現されていないニーズもあるが、それにも増して、今回のルール変更は既存のニーズからも外れてしまった。

 それが、再三述べた通り「期間内の任意の日程で利用できる」点だ。1か月ないし1か月半以上にわたる期間中、好きなタイミングで5回の鉄道旅行ができる。これは類例の少ないユニークな「商品」である。

 例えば、こんな使い方をする人がいる。購入の時点では3日程度しか利用の予定は決まっていなくても、取りあえず青春18きっぷを手にし、残りの2回分を

「後から考える」

というものだ。予定があって乗車券を買うのではなく、既に買った乗車券を基に旅行の動機付けがなされる。ユーザーの商品に対する期待感や信頼度をよく表している。

 こうした使い方を、JRは熟知しているはずである。というのも、青春18きっぷの購入者にアンケート用紙を配布し、利用日や利用区間、利用目的、性別、年齢などを問うているからだ。少なくとも二十数年分の蓄積が残されていると見られる。

 しかしながら、これまでその結果が公表されたことはない。今回の「連続利用」「3日用の設定」というルール変更に、アンケート結果が反映されたのかどうかもわからない。利用者に協力を求めながら、

「不誠実」

だったといわざるを得ない。アンケート結果に誠実に向き合い分析していれば、今回のような反発は生まなかったかもしれない。

 問題点の三つ目は、効力に制限が増え実質的な「値上げ」と捉えられるにもかかわらず、その理由や狙いが十分に説明されていないことだ。

 JR各社のリリースには「リニューアルした『青春18きっぷ』と『青春18きっぷ北海道新幹線オプション券』で冬の鉄道旅をお楽しみください」とあるだけで、デメリットが生じたことには触れられていない。辛うじて括弧書きで

「1枚を複数人でご利用いただくことや、1枚購入してこどもふたりでご利用いただくことはできません」

とあるばかりである。

 これでは今後も混乱を招きかねない。従来との変更点などを対照表にして詳説すべき大幅なルール変更にもかかわらず説明不足、不誠実さの感は否めない。

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