路線バスドライバー不足を「消防車」「ゴミ収集車」のドライバーで補うのは賢明か? 大阪・交野市のアイデアを再考する
2024年度から労働時間が短縮されることにともない、ドライバー不足が深刻化している。その中で、交野市は自家用有償旅客運送を活用し、職員による路線バスの運行を検討している。2030年には全国で3万6000人のドライバー不足が予測されており、地域交通を守るための新しいアプローチが必要とされている。また、地域住民も「交通手段の維持」を重要視し、意識改革が求められている。
新人材の可能性は未知数

交野市は、大型1種免許を持つごみ収集車や消防車を運転する市職員を動員して、路線バスの運行を守る方針だ。
全国で3万6000人ものドライバーが不足する見込みを考えると、地方自治体がメインアクターとなり、自家用車有償旅客輸送事業を活用して大型1種免許を持つ職員を有効に活用する手段を検討する価値がある。
2024年5月には、青森県弘前市が退職自衛官にドライバーとして再就職してもらうために、自衛隊と協定を結び、駐屯地でバス運転の体験インターンシップを開催した。このように、バスやタクシーのドライバー不足が深刻な弘前市では、自衛隊と協力してドライバー確保の動きが見られるようになってきた。こうした新しい運転人材確保に期待が集まる。ただし、ワンマン運転のドライバーは運転だけでなく、
・接客
・乗客とのコミュニケーション
・ワンマン装置の操作
なども行う必要がある。他業種から来た人々がこれらの業務を受け入れられるかは未知数であり、もし市民が
「従来の路線バスとは異なるサービスレベルだ」
と感じれば、路線バス離れが起きる可能性もある。そのため、住民も運転者の背景を理解し、代替策に理解を示すことが大切だ。