インド航空市場の覇権を失った「ジェットエアウェイズ」 かつての国内シェア1位が辿った破綻劇の裏側とは?

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インドの航空市場は2030年までに世界最大になると見込まれている。しかし、厳しい規制や激しい競争が影響を及ぼしている。キングフィッシャー航空やジェットエアウェイズは、外部要因と経営の失策が重なり、破綻してしまった。今後、グローバルで競争力のある航空会社が誕生するのだろうか。

LCC台頭で急落

新しい塗装を施したジェットエアウェイズのボーイング737型機(画像:Magentic Manifestations)
新しい塗装を施したジェットエアウェイズのボーイング737型機(画像:Magentic Manifestations)

 インディーゴやスパイスジェットなどのLCCが台頭してきた2010年代以降、ジェットエアウェイズの経営は急激に悪化した。LCCとの値下げ競争に巻き込まれ、国内線を中心に収益性が低下していく。これにより同社の体力は徐々に失われ、強みであった国際線ネットワークも年々縮小していった。

 2018年頃からは経営不安の声が聞こえ始め、2019年3月には4分の1の機体が

「リース料の未払い」

により停止しているとの報告があった。そして2019年4月17日には、国際航空運送協会(IATA)から除名され、アブダビのエティハド航空との提携交渉も破談となった。銀行からの支援も受けられず、同日より破産手続きを開始することになった。

 負債総額は1500億ルピーに達し、1万6558人の正社員が職を失う結果となった。また、123機の飛行機が飛べない事態に陥り、同日深夜には全ての国内線と国際線の運航を翌日から停止すると発表した。

 この突然のキャンセルに対し、エールフランスやKLMオランダ航空はムンバイに向けて臨時便を出すなどして対応した。

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