インド航空市場の覇権を失った「ジェットエアウェイズ」 かつての国内シェア1位が辿った破綻劇の裏側とは?
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インドの航空市場は2030年までに世界最大になると見込まれている。しかし、厳しい規制や激しい競争が影響を及ぼしている。キングフィッシャー航空やジェットエアウェイズは、外部要因と経営の失策が重なり、破綻してしまった。今後、グローバルで競争力のある航空会社が誕生するのだろうか。
マネジメントの迷走と影響

では、ジェットエアウェイズはなぜこのような悲惨な末路をたどることになったのだろうか。
まず、LCCの台頭や燃料費の高騰といった外部要因が考えられる。キングフィッシャー航空の記事でも触れたように、インドではLCCを中心とした競争が激化していた。一方で、地方自治体が燃料費を設定できるルールのため、燃料費が高騰しやすく、航空会社にとって厳しい環境だった。このように、外部要因は大きな影響を与えていたことは間違いない。
しかし、ジェットエアウェイズの破綻は外部要因だけでなく、内部要因も含まれていた。まず、LCCに参入するために買収したエアサハラについて、当時500万ドルという買収額が高すぎるとの批判が相次いでいた。この買収は創業者のゴーヤル氏が専門家からの警告を無視して進めたもので、先行きに対する不安が広がっていた。結局、エアサハラを引き継いだジェットライトは赤字を垂れ流し、2015年には投資を打ち切られ、同社を苦しめる要因となった。
さらに、ゴーヤル氏のマネジメントも問題視されていた。エアサハラのように過大な投資を行って負債を増やし、財務状況の悪化を招いていた。また、ビジネスモデルが異なるLCCとフルサービス部門を同時に管理していたため、現場の戦略策定に悪影響を与えていた。
このため、LCCとフルサービスの顧客層を明確に分けて戦略を描いていたカンタス航空とジェットスター、シンガポール航空とスクートのような成功例に倣えず、どちらの方でも中途半端な戦略に終始してしまった。