インド航空市場の覇権を失った「ジェットエアウェイズ」 かつての国内シェア1位が辿った破綻劇の裏側とは?

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インドの航空市場は2030年までに世界最大になると見込まれている。しかし、厳しい規制や激しい競争が影響を及ぼしている。キングフィッシャー航空やジェットエアウェイズは、外部要因と経営の失策が重なり、破綻してしまった。今後、グローバルで競争力のある航空会社が誕生するのだろうか。

インド航空市場の激闘

2010年にシンガポール・チャンギ空港にアプローチするジェット航空のボーイング737-800型機(画像:Aldo Bidini)
2010年にシンガポール・チャンギ空港にアプローチするジェット航空のボーイング737-800型機(画像:Aldo Bidini)

 経済成長が著しいインドでは、広大な国土と多くの人口を背景に、航空業界の果たす役割が非常に重要だ。実際、インドの航空市場は世界的にも高い成長が期待され、投資家の注目を集めている。

 しかし、同国の航空市場は競争が激しく、シェア1位の航空会社でも倒産する事例が相次いでいる。その一例が、以前

「インドのビール王が築いた「キングフィッシャー航空」はなぜ破綻したのか? 設立6年でシェア20%獲得も、まさかの「給料未払い」に陥った理由とは?」(2024年10月17日配信)

という記事で紹介したキングフィッシャー航空だ。もうひとつの例が、今回取り上げるジェットエアウェイズだ。

 同社は多くの長距離国際線を運航していて、一時はエア・インディアからナショナルフラッグキャリアの地位を奪う勢いがあったが、2010年代に入ると急激に失速した。そして、2019年には運行を終了した。

 本稿では、ジェットエアウェイズがシェア1位を獲得しながらも急速に失速していった理由について述べる。

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