率直に言う トラックドライバーの収入さえ上げれば「人材不足が解決する」なんて“甘ちゃん”の発想だ
「ドライバーの給料をアップすれば、ドライバー不足は解消する」という考え方は甘すぎる。そもそも、ドライバーの収入を上げることと、ドライバー不足を同じ文脈で考えるのは間違いだ。
トラックドライバーは感謝の声をつなぐ仕事

筆者はトラックドライバーを辞めて、営業会社に転職した。飛び込み営業やテレマーケティング営業を行う、完全な実力主義の会社だった。
そこには佐川急便出身の同期がいて、同じドライバー経験者ということもあり、意気投合して仕事の愚痴をよく話していた。
ある日、その同期がこういった。
「ドライバーのときって、お客さんから『ありがとう』って声をかけてもらえてたじゃない。あれが本当に励みになってたこと、今になってよくわかるよ」
と。「でも営業の仕事って、怒られることばかりだよね」と続けた。飛び込み営業をすれば「迷惑だ」と怒鳴られることがよくあるし、成績が悪ければ毎日上司に叱られる。
筆者も同じように感じていた。そして結局、彼はドライバーに戻っていった。ドライバーの仕事を一度離れてみて、その魅力に改めて気づいたのだ。
「物流は産業の血液」
といわれるように、私たちの生活はトラック輸送がなければ成り立たない。消費者も無意識ながら、トラックドライバーが社会を支えていることを理解しているからこそ「ありがとう」と声をかけてくれるのだろう。
ドライバー不足を解消するためには、輸送効率の向上に加え、収入や待遇、キャリアプランなど、現行の仕組みを見直す必要がある。同時に、ドライバーという
「職業の価値」
をもっと広く伝えることが大切だ。
蛇足かもしれないが、筆者はいつかACジャパン(社会的なメッセージを広めるための公共広告を制作・放送する非営利団体)がトラックドライバーの価値や苦労を伝える公共広告を作ってくれたら…とひそかに願っている。ぜひ関係者に検討してほしい。