率直に言う トラックドライバーの収入さえ上げれば「人材不足が解決する」なんて“甘ちゃん”の発想だ

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「ドライバーの給料をアップすれば、ドライバー不足は解消する」という考え方は甘すぎる。そもそも、ドライバーの収入を上げることと、ドライバー不足を同じ文脈で考えるのは間違いだ。

理由1「就労可能人口の減少」

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 ひとつ目の理由は、日本社会が直面している少子高齢化と就労可能人口の減少にある。要するに、就労可能人口が急速に減少している日本社会で、トラックドライバーだけを増やそうとすると、他の産業にひずみが生じ、人手不足がさらに加速する。

 2020年の国勢調査によると、日本の総人口は1億2615万人だったが、2070年には8700万人まで減少すると予測されている。このなかで、就労可能人口(生産年齢人口)は、2020年の7509万人から2032年には7000万人、2043年には6000万人と減少し、2062年には5000万人を下回り、2070年には

「4535万人」(36%)

まで減少すると見込まれている。

 人手不足は運送業界だけの問題ではなく、建築業、医療、介護など、あらゆる産業で深刻な課題となっている。限られた労働者をどう産業ごとに、かつ全体最適を考慮しながら効率的に配分するかが、今後の労働政策で求められる。単に「ドライバーだけを増やしたい」という利己的な考えでは、他の産業にしわ寄せが生じてしまうのだ。

 したがって、人手不足の解決は「人をどう集めるか」ではなく、

「限られた人手でどう生産性を高めるか」

という省人化対策を重視すべきだ。そもそも、人手不足が深刻な日本社会でドライバー不足を収入アップだけで解決しようとすれば、ドライバーの収入は驚くほど高くなるだろう。

 私たちの周りにあるさまざまな物は、物流の力を借りて私たちの手元に届く。そのなかで、約90%(重量ベース)はトラックで輸送されている。そうなると、生産性向上をともなわないドライバーの人件費高騰は物価上昇を引き起こし、私たちの生活を苦しめる結果になる。

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