トヨタに肉薄! 「GM・ヒョンデ提携」の衝撃、北米依存を超えた中国・インド攻略の行方とは

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米国のゼネラルモーターズ(GM)と韓国の現代自動車は、乗用車や商用車の開発、バッテリー材料の共同調達などを目的とした協力覚書を締結した。両社の2023年の販売台数は合計1030万台に達し、世界トップのトヨタに迫っている。特に、ハイブリッド技術の共有を通じて手頃な価格のEVを提供することで、グローバルEV市場に与える影響が注目されている。

北米市場での相互補完

現代自動車がインドで販売しているスポーツタイプ多目的車(SUV)「ALCAZAR」(画像:インド現代自動車)
現代自動車がインドで販売しているスポーツタイプ多目的車(SUV)「ALCAZAR」(画像:インド現代自動車)

 両社で検討が進められている協力関係が具体的にどうなるのかを考えてみよう。

 まず、両社のEV戦略に関連したバッテリー分野での協業が考えられる。両社とも、バッテリーメーカーであるLGやサムスンSDIと合弁会社を設立し、北米でバッテリー工場の建設を進めている。

 2024年7月には、GMとLGエナジーとの合弁会社によるミシガン工場の建設延期が発表された。延期の理由はサプライチェーンの問題やコストの上昇だが、EV需要の鈍化によって計画が見直された可能性もある。この協業を通じて、両社はおのおののバッテリー工場をより効率的に運用するスキームを検討するだろう。

 次に、両社のターゲット市場について考察する。GMは北米と中国の販売比率が合わせて80%を超え、依存度が高い。一方、現代自動車は

・北米
・欧州
・インド
・中南米

などが主な販売地域である。これから考えると、両社で相互補完できる地域は中国とインドとなる。

 現代自動車は中国市場で販売不振に陥っている。以前は中国に五つの工場を持ち、年産150万台程度の能力があったが、2021年に北京第1工場を、2023年12月には重慶工場を売却し、生産能力を大幅に縮小している。GMとの協業を通じて、中国事業の立て直しを模索する可能性は残されている。

 インド市場では、現代自動車がGMからタレガオン工場を2023年8月に買収し、2025年に生産を開始する予定だ。既存のチェンナイ工場と合わせて、年産100万台超の能力を計画中である。GMは2017年にインド市場から完全撤退したが、協業を通じて再参入を考える可能性がある。

 GMの依存度が高い北米市場では、現代自動車の販売が堅調であり、両社はお互いに不可侵の立場を取るだろう。

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