海自「潜水手当不正受給」の深層! 元中級幹部が語る“偽装報告文化”の闇とは
インド洋給油とメイキング

20年前にニュースとなったインド洋給油問題の背景でもある。
原因そのものは市ヶ谷における給油実績量の取り違いとされている。
ただ、本当の数字も横須賀でのメイキングで分からなくなっていた。現地報告の段階で実績量には不整合が生じていた。それを
「見栄えが悪い」
と悪意なくメイキングした結果である。当時、総監部内ではそういわれていた。
担当が艦艇系士官だった影響もあるだろう。護衛艦では報告ほかの体裁にやたらと厳しい。数字の異同や不整合も責めたてられる。それをメイキングで解決する傾向がある。
後には、別の艦艇系士官からは航跡メイキングを美談として聞かされた。
「護衛艦で漁網を切ったが、気の利いた先任下士官が即座に海図上の実航跡に消しゴムをかけて証拠隠滅した」
話である。筆者の商売は周辺対策であり配置次第では漁協に日参する。それを知らず口を滑らせたのだろう。
漁協も先刻承知である。密漁対策でレーダや暗視装置を備えている。ただ、裁判は面倒な上に公事倒れなので泣き寝入りをしているだけだ。
潜水訓練の面倒を嫌った

潜水手当の不正請求は、このメイキングの結果である。間違いなくそう判断できる。
根底には飽和潜水の面倒がある。潜るのはよいが地上に戻るための減圧作業に1週間やそれ以上もかかってしまう。
本番ならばいとわない。艦船沈没や航空機墜落での救難や原因究明なら潜水員はプロの沽券(こけん)にかけて遂行する。その後に1週間や2週間に及ぶ減圧があっても辛抱する。
ただ、訓練は勘弁してくれとなる。潜水員からすれば「年間計画に載っている」だけで1週間以上も家に帰れず、娯楽もプライバシーもない減圧室で過ごすのは御免である。潜水員以外も安全のために付き添う面倒をがある。
それをメイキングで解決した。年間訓練の一部、あるいは全てを実施した体裁とした。それが今回の事件である。