日産9000人削減はまだ甘い? 本場「ドイツ」も大失職時代へ! 35年までに「19万人」雇用喪失という現実、残された希望は何か?

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日産自動車やドイツの自動車産業が直面する大きな変革の波。雇用削減、EVシフト、そして再生可能エネルギーの未来──。自動車業界の不況とともに新たな雇用創出の期待が高まる中、各国の対応が試される時が来ている。特に、ドイツの自動車業界では18万人の雇用喪失が予測され、再生可能エネルギー分野の成長がひとつの解決策となりそうだ。

ドイツ、2035年まで19万人失職予測

カスタムカーの展示会「東京オートサロン」に出店した日産自動車のロゴマーク。千葉市美浜区の幕張メッセ。2022年1月14日撮影(画像:時事)
カスタムカーの展示会「東京オートサロン」に出店した日産自動車のロゴマーク。千葉市美浜区の幕張メッセ。2022年1月14日撮影(画像:時事)

 日産自動車は最近、全従業員の7%にあたる9000人の人員削減を発表した。不振の原因は主に

・市場状況の変動
・自社特有の課題

のふたつだ。中国の大衆車市場が縮小しており、そのスピードが速くなっている。さらに、価格競争が激化。加えて、中国の現地メーカーは、日産が展開している東南アジアや中東、中南米などの市場にも輸出を増やしており、その影響を受けている。米国市場では、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の需要が急増しているが、これらの車をラインアップに持っておらず、競争に後れをとっていた。

 一方、ドイツの自動車産業では、過去5年間で4万6000人が職を失い、さらに2035年までに18万6000人の雇用が失われると予測されている。

 自動車業界は現在、大きな変化を迎えている。新しい市場環境、EVへのシフト、デジタル化、そして経済的および政治的な不確実性が現在の混乱を引き起こしている。現在の状況に危機感を抱くドイツ自動車工業会(VDA)は、研究機関「Prognos」に雇用への影響を広範に調査するよう依頼し、その結果を「自動車業界の雇用見通し」として発表した。

 調査によると、2019年から2023年にかけて、金属加工などの分野で7万5000人の雇用が減少し、一方で自動車エンジニアリング分野などでは2万9000人の雇用が増加した。この差し引きで失われた4万6000人の雇用は、主にEV生産への移行によるものだ。

 今後もこの傾向が続くと予測されており、2035年までにドイツの自動車産業の雇用は2019年より18万6000人少なくなるとされている。具体的には、2024年から2035年の間に14万人の雇用が失われる見込みだ。

 自動車業界の10大職業グループのうち、七つのグループでは2019年以降に最も多くの雇用喪失が見られ、特に

・機械工学
・産業工学
・金属加工

などの仕事は重要性を失っている。これに対し、

・自動車工学
・技術研究開発
・コンピューターサイエンス
・電気工学
・ソフトウエア開発

の分野では雇用が増加している。これらのIT関連職の雇用は、2019年以降約4分の1増加しており、2013年以降では85%増加している。自動車業界内でのIT化が着実に進んでいることがわかる。

47兆円投資で業界改革

VDAのウェブサイト(画像:VDA)
VDAのウェブサイト(画像:VDA)

 今回の調査に強い危機感を抱くVDA会長のヒルデガルト・ミュラー氏は、

「私たちの業界の変革は巨大な課題です。ドイツの自動車業界の企業とその従業員は、それが成功するように全力を尽くしています」

と語った。また、2024年から2028年の間に、ドイツの自動車メーカーと部品サプライヤーは研究開発に約

「2800億ユーロ(約47兆円)」

を投資し、工場の改造にはさらに1300億ユーロ(約21兆円)を投資する計画であることも明らかにした。

 一方で、フォルクスワーゲンはドイツ国内の少なくとも三つの工場を閉鎖し、数万人の従業員を解雇する計画を発表した。残りの工場も縮小される予定だ。果たして、ドイツの自動車産業はイノベーションに成功するのだろうか。

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