日産9000人削減の衝撃! ゴーン前会長が残した3つの“負の遺産”とは何か? 「ルノー支配」「販売偏重」のツケが招いた辛らつ現実を再考する
日産自動車が深刻な危機に直面している。営業利益90%減、純利益93%減という9月中間決算の数字が示すのは、単なる一時的な低迷ではなく、カルロス・ゴーン元CEOによる「負の遺産」による構造的な競争力低下だ。欧州偏重、ハイブリッド開発の遅れ、ブランド価値を損なった販売戦略が業績悪化を招き、次世代自動車への対応が急務となっている。ルノーとの関係見直しやホンダとの提携による巻き返しを図るが、その道のりは険しい。
日産業績90%減の背景
日産自動車の9月中間決算は悲惨な内容だ。営業利益は前期比90.2%減の329億円、純利益は同93.5%減の192億円だった。一時的な業績悪化ではなく、構造的な競争力低下が原因である。
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同社は大規模リストラに着手する方針を打ち出した。グローバル人員数を9000人削減、グローバル生産能力を20%削減して、年間350万台の生産でも耐えられる規模とする。これから次世代自動車や自動運転の開発競争に多大なコストがかかる中、厳しい時期を迎える。
日産自動車の業績悪化の根源に、かつて最高経営責任者(CEO)として君臨したカルロス・ゴーン氏の残した
「負の遺産」
がある。私(窪田真之、ストラテジスト)は、30年以上前から、日産自動車の決算説明会に出席し、企業価値について分析してきた。ゴーン氏がCEOとなった1999(平成11)年以降は、経営説明会でゴーン氏のプレゼンテーションを何回も聞いた。
あくまでも私の個人的見解だが、ゴーン氏が、日産自動車の株主価値を高めるのに大きな功績があったのは、
「1999年から2005年まで」
だった。2005年にルノーの会長を兼務するようになってからは、少しずつ日産ではなくルノーとフランス政府の方を向いて仕事をするようになっていった。そんなゴーン氏に
「経営の全権を与えてしまった」
のが大きな問題であった。