なぜ鉄道の「車内販売」は次々廃止されるのか? コスト削減と利便性のジレンマ、狭間で揺れるサービスの行方とは
鉄道車内販売の廃止が進むなか、消費者からは「不便」「体調管理の懸念」といった声が高まっている。効率化を進める鉄道業界に対し、乗客の健康や快適さを守るため、代替案の導入が急務だ。自動販売機や事前予約制など、柔軟なサービスの形態が求められる時代が来ている。
車内販売廃止で消える楽しみ

近年、鉄道車内での販売サービスが次々に廃止されている。特に、新幹線や特急列車などの長距離列車では、自動販売機すら設置されないケースが増えてきている。
これには、運営コストの削減や効率化を目指す企業側の意図があると考えられる。コストを抑えるため、車内でのワゴン販売や自販機の撤去が進み、鉄道業界の経済的な側面が色濃く反映されている。
しかし、その一方で、消費者からは
「車内での楽しみが減った」
「飲み物を買えなくて困った」
といった不満の声も広がっている。このような一斉廃止の流れに懸念を示す意見も少なくない。特に、長時間の移動中に飲料を確保できないことが、緊急時の対応に影響を与えるのではないかという指摘もある。
この現状において、車内販売の廃止が適切な流れなのか、社会的・経済的な観点から再考する必要がある。本稿では、その点について検討していきたい。