パワハラ上司が減ったのに、「面倒な上司」がまったく減らない理由
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30年前のベストセラー『おごるな上司!』が今も有効? 令和の上司は表面だけおとなしく、本質的には「怠慢」な管理が増加中。出世欲減少も、承認欲求や「静かにつぶす」手法が根強く、部下へのケアが不十分な上司が目立つ。
ベストセラー「おごるな上司!」

1994(平成6)年のベストセラーに、かのロッキード事件(1976年)を担当した元検事の堀田力氏による「おごるな上司!」という本があった。
上司部下のコミュニケーションについての本であり、筆者(曽和利光、人事コンサルタント)も社会人になった頃、読んだ。いつの世でも部下は上司への対応に難儀するものだが、当時の困った上司たちの扱い方などが書いてあった。
あれから30年後、令和においても同じようなことは成り立つだろうか。上司は何かするたびに「パワハラだ!」と訴追されるような世の中で、
「表面的」
にはおとなしくなった。しかし、人間はそんなに変わるものではない。令和は令和の隠れ「おごった」上司がいるのではなかろうか。
管理職になりたい人は減っている

例えば同書には
「権勢欲の強い上司」
つまり、他人より偉くなりたいという動機が強すぎる困った上司が出てくる。
しかし、現在では管理職になりたい人は減っている。パーソル総合研究所が2019年に実施したアジア太平洋地域の主要14か国で行った調査で、日本人の出世意欲「管理職になりたいか」は断トツの最下位だった。
1位インドが86.2%、2位ベトナムが86.1%、3位フィリピンが82.6%と、軒並み8割以上の人がイエスと答えているのに、日本人は
「21.4%」
しかなく、ブービーのニュージーランド(41.2%)の約半分だった。権勢欲のひとつの表れである出世欲は少なくとも減っている。