タワマンはもういらない? まだ必要? 建てて「いい場所」「悪い場所」をじっくり考える

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タワーマンションの建設は地域社会に複雑な影響を与える。コミュニティー形成の困難やインフラ対応の課題がありながらも、商業施設の増加などのプラス面もある。適切な計画と調整が重要だ。

タワマン効果で勝どき人口3.6倍に

タワマン(画像:写真AC)
タワマン(画像:写真AC)

 タワマン開発によるプラス効果で目立つのは、東京湾岸の中央区勝どきだ。1998(平成10)年1月に8395人だった人口は、2024年7月時点で3万381人と、約26年間で3.6倍という驚異的な伸びを見せている。そのほとんどは、タワマンや新しく建設された中層マンションの住民である。

 最も直接的な影響は、商業施設の増加である。現在、勝どきには五つのスーパーマーケットがある。デリド、文化堂、マルエツ、ライフ、東武ストアだ。このうち、東武ストアは医療モールと介護施設のビルに入居しているが、それ以外はすべてタワマンのテナントである。

 勝どきは比較的コンパクトな地域で、面積は小規模の部類に入る。そのなかに約3万人が住み、五つのスーパーマーケットがあるため、競争は激しい。住民への取材でも、2023年10月にライフがオープンして以来、競争はさらに激化しているという。その結果、「ライフがオープンしてから食費が少し安くなった」という声も聞かれた。タワマンの集積による人口増が、小売店間の競争に拍車をかけ、消費者メリットにつながっているのかもしれない。

 また、このライフがある「パークタワー勝どき」には大きな公開空地があり、「子どもを水遊びさせられる」と、タワマン以外の住民にも人気がある。また、勝どき初のスターバックスもあり、意外と活気のあるスポットだ。

 交通面では、パークタワー勝どきの敷地と都営大江戸線を直結する地下通路が整備されたほか、晴海運河に歩道橋が架けられ、晴海方面へのアクセスも便利になった。混雑していた大江戸線勝どき駅もホームが増設され、一定の利便性が確保された。

 このような好影響が目立つのは、湾岸エリアがタワマンの一等地だったからだ。勝どきのタワマンが建設された地域は、もともと広大な倉庫や都有地が多く、用地の確保が容易だった。中央区の日本橋や京橋といった伝統的なエリアに比べ、勝どきは街づくりが遅れており、既存の価値観とのあつれきが少なく、変化を望む声が強かった。

 こうした背景から、タワマンの立地に反対する声は少なかった。江東区の豊洲など、工場群を転用した地域にも同様の傾向が見られる。

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