率直に言う もはや日本に「公共交通」を維持する力はない

キーワード :
, ,
日本の公共交通は重要な転換期を迎えている。この状況を理解するためには、まず日本の人口動態を見る必要がある。

ファストリ柳井氏の警告

公共交通(画像:写真AC)
公共交通(画像:写真AC)

 米誌『タイム』の12月4日号に掲載された、ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏の発言が話題を呼んでいる。記事タイトルは「ユニクロの創業者、日本に警鐘を鳴らす(The Founder of Uniqlo Has a Wake-Up Call for Japan)」で、日本の財政赤字の拡大と賃金の低迷の問題に焦点が当てられてる。

 柳井氏は、これらの問題が解決されなければ、日本の将来に暗い影を落としかねないと警告。世界的に有名な実業家が日本の経済状況について率直な意見を述べたことは、今後も波紋を呼びそうだ。

 現在、日本経済はもちろん、公共交通も重要な転換期を迎えている。この状況を理解するためには、まず日本の人口動態を見る必要がある。

 日本の人口は2008(平成20)年に1億2808万人と最高を記録した後、減少傾向にあり、2022年には1億2495万人まで落ち込んだ(2.4%減)。『日本の将来推計人口』によると

・2056年:9965万人(22%減)
・2070年:8700万人(32%減)

になると予測されている。特に、2070年の高齢化率は38.7%に達し、2022年の29.1%から大幅に上昇する。

 経済状況の変化も深刻だ。日本の平均的な世帯の経済状況は年々厳しくなっている。2022年の1世帯当たりの消費支出は293万円で、2000年以降13.1%減少している。つまり、この20年間で消費能力は大幅に減少しているのだ。

 公共交通の利用料金もこの傾向に沿っており、2022年の1世帯当たりの消費額は4万4000円で、22年間で38.4%減少している。

全てのコメントを見る