「軽トラ = 農業」というイメージを打破し、「一般車」として普及させるにはどうすればよいか?

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軽トラは日本の産業支える象徴だが、一般車普及は遅れ。データなどから、脱農業イメージに向けた施策で、未来の軽トラ社会に光を差し込む。

「軽トラ = 農業」という固定概念

エヌラボ T880コンセプトモデル(画像:ホンダ)
エヌラボ T880コンセプトモデル(画像:ホンダ)

 一般消費者が軽トラを選ばない理由を考えてみると、軽トラに対する「固定概念」が大きいことが挙げられる。

「軽トラ = 農業」

というイメージが定着し、街乗りに適さないと考える一般消費者が多いことは容易に想像できる。しかし、一般乗用車として軽トラは、

・多用途性(キャンプ、アウトドア、趣味用途など)
・都市部での駐車のしやすさや取り回しの良さ
・コストパフォーマンスの優位性

などのメリットが挙げられるだろう。

 固定概念から脱却して、どのようにしたら一般乗用車として普及させられるかを考えてみると、まず外観デザインを一新すべきだと考える。筆者が選ぶ「デザインに優れた軽トラ」3台を紹介する。

ネックは「乗員人数」

スズキ・スーパーキャリーXリミテッド(画像:スズキ)
スズキ・スーパーキャリーXリミテッド(画像:スズキ)

 まず1台めは、ホンダが東京オートサロン2017に出品した「エヌラボ T880」だ。「働く車はカッコいい」をコンセプトに、アクティトラックをベースにした軽トラコンセプトモデルだったが、残念ながら市販化はされなかった。その後に同社は、アクティの生産を2021年4月に終了し、軽トラ市場から撤退した。

 2台めは、2023年に開催されたジャパンモビリティショー2023でダイハツが出品した、軽トラコンセプト「ユニフォームトラック」である。ミニマムなデザインで、軽トラの未来像を予感させるモデルだった。

 最後に、スズキが販売中のスーパーキャリー・Xリミテッドを紹介する。ボディカラーにメタリックカラーを設定し、特別装備オプションもあり、街乗りにふさわしいグレードを提供している。

 このような外観デザインの一新だけでなく、シート改良などインテリアデザインの改善に加え、

「快適装備(エアコン、カーナビなど)」

の充実も必要となるだろう。しかしながら、一番のネックとなるのは乗員人数である。現在はふたりまで乗車が可能だが、

「荷台を省スペース化」

するなどして、乗員人数を増やす工夫が求められる。このように既定概念を覆すデザインの軽トラを売り出し、多様化するライフスタイルに合わせたプロモーションを通じて、若年層や都市部住民へ訴求をしていけば、ヒットを生み出せるのではないか。さらに、

・税制優遇や補助金の導入
・都市部での駐車場優遇措置

などを整備し、インセンティブを与えることで、軽トラの普及はさらに進むものと思われる。

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