生活保護受給者でも“特別な事情”があれば、「車の所有」は当然の権利である

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三重県鈴鹿市で生活保護を受けている女性が、運転記録の不備により生活保護を停止された。この問題を通して、公平性のジレンマと生活保護制度の現状を再考する。

生活保護と車の所有

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 三重県鈴鹿市に住む生活保護受給者の女性が、車の運転記録の不備を理由に生活保護を停止されたことが報じられ、議論を呼んでいる。

 この女性には脳性まひの息子がいて、送り迎えするために車が必要だった。しかし、市は彼女に詳細な運転記録の提出を求め、虚偽申告の疑いがかけられた。この状況に女性が怒った。最終的に、津地裁は市の生活保護停止処分が誤りであるとの判決を下した。

 特別な事情がある生活保護受給者に「車の所有と運転」を認めることは、

「最低限度の生活」

を保障することと同じであり、現代においては当然の権利だ。しかし、国会では毎年同じような質問が繰り返され、

「車は資産であり、他の低所得者とのバランスも考えなければならない」

という政府の見解が示される。このパターンが繰り返され、ネット上でも同じような議論が続き、もはや

「生活保護論争はお祭りの恒例行事なのか」

と、高齢者や障がい者への支援に携わってきた筆者(伊波幸人、乗り物ライター)はうんざりする。

 なぜ鈴鹿市は詳細な運転記録を要求したのか。いい換えれば、なぜ詳細な運転記録をつけなければ、車の所有も運転も許されないのか。

 本稿では、生活保護受給者が「車の所有と運転」を制限される本当の理由について、考えてみたい。

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