生活保護受給者でも“特別な事情”があれば、「車の所有」は当然の権利である

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三重県鈴鹿市で生活保護を受けている女性が、運転記録の不備により生活保護を停止された。この問題を通して、公平性のジレンマと生活保護制度の現状を再考する。

生活保護と公平性の葛藤

生活保護申請書のイメージ(画像:写真AC)
生活保護申請書のイメージ(画像:写真AC)

 第三に、「低所得者とのバランス」が最大の問題である。

 生活保護世帯と同レベルの低所得にもかかわらず、車の維持費を支払っている人がいるだろう。「正直者がばかを見る」という怒りは理解できる。さらに、生活保護を不正に受給したり、不健康な生活のために生活保護に依存したりするケースもあり、これに納得できない人も多いだろう。平たくいえば、

「社会的弱者に配慮する必要性は理解できるが、納得できない部分も多い」

ということである。公平性のジレンマだ。しかし、生活保護受給者の大半は、病気やけがをしているか、高齢で働けないかのどちらかである。冒頭のケースを振り返っても、今でこそ「医療的ケア児(脳性まひの子どもなど)」は地域で生活できるが、一昔前にはそんな余裕はなかった。

 障がい児を抱え、ただでさえ生活苦にあえいでいる人たちに対して、運転記録の未提出を理由に生活保護を打ち切るのはいかがなものか。誰もが同じ状況に陥る可能性があるのだから、福祉制度を改善することは誰にとっても利益になる。

 そもそも、生活保護受給者の権利を拡大するためには、低所得者への配慮が必要だという考え方が対立を生んでいる。その場合、車の維持費の補助制度についても、所得によって差をつけるような議論が必要だろう。

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