日本車はなぜ売れ続けるのか? なぜ強いのか? 厳しい自然環境が育んだ耐久性と信頼性、円安の“追い風”で再考する
日本の自動車産業は経済への波及効果が大きく、技術革新と長持ちする耐久性によって世界での地位を確立してきた。
三菱の意外な評価

ランドクルーザーを筆頭に、トヨタはタイやアジア圏で圧倒的な存在感を示している、というイメージを持っている人は多いと思う。しかし、何度も経営危機にひんした三菱がなぜ――と不思議に思う人も多いだろう。
実際、2013(平成25)年に筆者がキューバを訪れた際、観光名物となっているアンティークの米国車のエンジンの多くが、実は三菱製に換装されていたと聞いて驚いた。2020年には、キューバ政府が三菱ふそうのトラックを96台発注したという報道もあった。
日本国内では不祥事が相次ぎ、三菱の経営はかつて危機に陥っていた。しかし、今や同社のウェブサイトでは、自衛隊をはじめとする国への車両導入実績や未曾有(みぞう)の災害時の実績から、「耐久信頼性技術」を誇っている。
2023年、日本の自動車業界でさまざまな不正が明るみに出たことは記憶に新しいが、国土交通省のデータによれば、過去10年間の国産車のリコール件数は輸入車と同等か、それ以上の水準で推移しているのが現実だ。
にもかかわらず、信頼性の高い「ものづくり」という点で、日本車の優位性はどこにあるのだろうか。